限界の向こうは無限大

って『ロストユニバース』の主題歌だったんだ。『スレイヤーズ』のかと思っていましたよ。
とかメイドさんがカラオケで歌っているのを聞ききつつ感心した。

でそう言えば最近神坂一を読んだなぁ。

神坂一『スタンプ・トゥ・キル』

言わずと知れたスレイヤーズすぺしゃる。
今回は口絵で紹介されているのに白蛇のナーガが出てません。
まあ、その方が話がしまる気がするので良いのですが。
基本的に短編のスレイヤーズすぺしゃるは「笑い」が中心であり、
その「笑い」は一見普通に見えた人々の奇妙さによってもたらされる種類のだから。
(ただし、その普通は物語としての普通であることもあるけれど)
少なくとも私にとっては、そういうものなのです。
主人公のリナ・インバースの役割はそういうボケに対するツッコミである為、
普通人としての感覚とドラゴンもふっとばす呪文が重要なのです。
当初は目新かったゲームという文法の中のファンタジーのパロディという側面が
他に多く満ち溢れたことによって新鮮さを失いネタとして成立し得なくなった今では、
まさにそのボケとツッコミであるこの巻は面白かったのですよ。
ただ、そうは言っても、リナのキャラクターも大事ではあるので
ワーウルフの集落を吹っ飛ばしたその動機が、特に語られることは無かったけれど
社会正義に見えたのが、ちょっと気になったりもしました。
八つ当たりで吹っ飛ばしたのでは無く、後で人を襲う可能性が高い、という理由「だけ」で
それを行うのはリナらしくない、などと私には感じられたので。
キャラクターがブレてるのかなぁ。

藤浪智之作、佐々木亮画『マンションズ&ドラゴンズ』

新装版、買いましたよ。書き下ろしのおまけまんがの為に。
これまたゲームの文法によるファンタジー系の漫画。
と言うかTRPGのプレイを元に書かれているのだから当然と言えば当然。
とは言えコンピュータゲームのRPGから影響を受けたプレイだったのでは
とか思ったりするのですが、実のところどうなんだろう。
TRPGにおいて「勇者」というものを職業(というかクラス)化したのは最近のこと。
「勇者」を職業としたのは結局コンピュータゲームなのだから。
この漫画にあるのは「冒険者」とか「勇者」という職業とは言い難いものを
その生き方として捉える考え方だと思うわけです。
マンションの住人たちが「冒険者」であり、
ナッツ(やレッド)が「勇者」であるところが主義主張……、な訳はないか……。

川原泉レナード現象には理由がある

久々の川原泉の学園もの。WEBで出ているのを知ったのですが、
昔懐かしい感じの川原泉だと評している人がいるのを見たわけですが
まさしくその通り。
川原泉のボーイ・ミーツ・ガールのパターンとしては、
自覚的にしろそうでないにしろアウトサイダーであるところの少女たちが、
同じくアウトサイダーである少年やら青年と出会い
共感するってのがあるわけで、この本はまさにそんな感じ。
パターン化するということは手馴れているわけで
いつもの川原節が楽しいのです。
絵柄はちと変わった感はありましたが。